丹波の名前の由来~赤米の巻~
世の中の様々なものを特定するためにつけられた名前。人間はこの「名前」を使うことで会話を円滑に行なってきました。
そこで、今回はこの地域が「丹波」という名前になった謂れ(いわれ)に触れてみたいと思います。
あくまでも、これは丹波の地名の由来のひとつと言われており、由来にはほかにも謂れがあります。その点を踏まえた上でお読みください。
赤米編
この地域は当時の都である「京」の北西に広がる地域で、昔から土壌に恵まれたため、優れた農産物が育つ地域だったといわれています。山間部が多いため稲作面積は少なかったと思われますが、1300年ほど昔に書かれた書物である「日本書紀(西暦720年)」にも、丹波栗の記載があるほどに良い土地だったことがわかります。
そんなこの地域でも、少ない平地では稲作が盛んにおこなわれており、粘土質な土壌は水を逃がしにくく、山からも豊富に水が流れてきたため、とても良いお米が育っていたそうです。「京の都の米どころ」などと表現される地域もあったようで、季節になると、当時盛んに栽培されていた「赤米」の稲穂が風になびいていたことでしょう。
この風景を見ながらのやりとり(フィクションです)
おお、これは見事な赤米ですな
ここら辺は赤米作ってる農家が多いんですじゃ
この赤米の稲穂が風になびく様子は、まるで「丹い(あかい)波のようではないか」
丹い(あかい)波とはうまく言いなさるのぉ
そうじゃ、この地域を「丹い(あかい)波」と書いて、「丹波(たんば)」と呼んではいかがであろう?
おおおおおおお、丹波ですかぃ、ええ名前じゃのぉ
「丹」という文字は「丹頂鶴」という頭のてっぺんが赤い鳥にもあるように、「赤」という意味があります。実際にこんなやり取りがあったのかは定かではありませんが、丹波という地名の諸説あるひとつといわれています。
今となっては赤米を作っている農家はほとんど無く、ほぼすべての農家が、普段皆さんが口にされているコシヒカリの白米を栽培されていますが、ごく一部では赤米を育てている農家もあると聞きます。市内のお菓子屋さんでは、丹波の名前の由来ともいわれる赤米を使ったお菓子を作っておられるお店もあるとのこと。
もうほとんど見かけることは無くなってしまいましたが、赤米の稲穂を見て、「赤い波のようだ」なんてロマンチックなお話ですよね。次回はまた違った名前の由来をお伝えしたいと思います。